トラック輸送の『標準的な運賃』
令和2年4月、国土交通省では、トラックドライバーの労働条件の改善・ドライバー不足の解消を図り、安定した輸送力を確保するため、トラック運送事業者が法令を遵守して持続的に事業を行う際の参考となる標準的な運賃の告示を行ないました。
平成30年12月に『貨物自動車運送事業法』が改正されました。
経済活動・国民生活を支えるトラック運送業の健全な発達を図るための規制の適正化を図るほか、その業務について、令和6年度から時間外(960時間)が設定されます。(=働き方改革法施行)こと等を踏まえ、その担い手である運転者を確保できず、重要な社会インフラである物流が滞ってしまうことのないよう、緊急に運転者の労働条件を改善する必要があること等に鑑みるとあります。
ここ数年慢性的なドライバー成り手不足が続いております。
少子化や普通免許制度の法改正などが主たる要因であり、ドライバー職に就くが長時間労働や低賃金を理由に離職するものが多いのも事実です。
次なる表現は不適切と思われるかも知れませんが、かつてトラックドライバーは高収入の憧れの職業だったと聞いたことがあります。
その後、『トラック野朗・星桃次郎』の映画が爆発的人気を博しトラックドライバーに憧れ就いた人が急増した背景がありました。
日本の高度成長と共にトラックドライバーが脚光を浴び、言葉は悪いですが免許証1枚と身体さえあれば稼げた(高収入)時代です。
この時代には法令順守(コンプライアンス)という言葉は存在しなかったのではないでしょうか。
長時間労働・無休・過積載・交通違反(スピード違反)など今では到底考えられないことが日常茶飯事でした。
平成2年に物流2法(貨物自動車運送事業法・貨物運送取扱事業法)が改正され運送事業は免許制から許可制に規制緩和され、更に拍車を掛け劣悪になったと思います。
この規制緩和で新規事業者がトータル2万社増えたことにより、激しいダンピング合戦で値崩れがおき自分達(運送事業者)で自分の首を締め合う醜い争いが勃発しました。
重大事故の続発などを受け平成15年以降行政処分の厳罰化が進み今日に至っております。
弊社が創業した平成10年当時を振り返ると私自身、「コンプライアンスを守っていたら商売にならない」と考えておりました。
その様な考えで経営していましたので、平成18年に運輸支局監査で行政処分を受けることとなってしまいました。
現在トラックドライバー職は全産業平均より2割労働時間が長く年間所得が2割程度低いとされております。
他の産業に従事している方から見れば「仕方無いのでは!」と厳しいご意見が聞こえてきそうです。
反省すべき点は猛省し襟を正し社会貢献すべきであると個人的には思うところもあります。
生活の衣食住を担うトラック輸送は国民生活に無くてはならない重要な役割ですので、ドライバーに光を当て働き甲斐のある職業にしたいと考えます。
そのためには生活の源となる所得の向上に努めたいところですが、運行3費(燃料・タイヤ・修繕)のコスト増のみならずトラック購入費・高速代など年々値上がる一方で、反面輸送運賃が低く(安い)経営がまかなえない状態に陥っている現状があります。
少子高齢化や総人口の減少で就労人口も減り、更にトラックドライバーが減少の一途をたどることが予想されております。
全日本トラック協会と国土交通省がこの事態を重んじて『標準的な運賃』を示したと思います。
トラック運送業界を取り巻く環境にも変化が生じ残業時間規制(2024年4月以降)罰則付きとなります。
諸問題を解決するには我々の自助努力だけでは機能せず荷主企業様の寛大なるご理解が不可欠だと思っております。
そのためには、より一層のサービス向上と安全輸送に心がけ荷主企業様の期待に応える輸送を目指します。
千葉県トラック協会より郵送されたセミナーのDVDを見て社員の将来のために頑張る所存です。