トラック高速道路最高速度引き上げ検討で弊社社員のコメント
物流・トラック業界では「物流2024年問題」が深刻な問題になっております。
2024年4月よりトラックドライバーに適応される年間最大960時間内の残業時間規制と改善基準告示による労働時間の短縮がスタートします。
この「物流2024年問題」が思わぬ方向に進んでおります。
物流業界で人手不足(ドライバー)が懸念されている「2024年問題」に対応するため、警察庁は7月26日、高速道路での大型トラックなどの速度規制の引き上げに向けて有識者検討会を開催する。速度の引き上げによって物流の効率化や運転時間の短縮などの効果が期待されるが、トラック運転手や労働組合側からは、安全面などに懸念の声が上がっている。(産経新聞の記事より抜粋)
先日のこと弊社に産経新聞社の記者より入電があり、私なりの意見を述べさせて頂きました。高速道路における大型トラックと車両総重量8トン以上の中型トラックは道路交通法で最高速度80㎞/hとなっております。平成15年に大型トラックには速度抑制装置(スピードリミッター)の装備が義務付けられました。90km/h以上の速度が出ないようにする装置です。この背景には大型トラックが起因する重大事故が増加しており速度を抑制することで事故の減少を図ったと記憶しております。トラックに安全装置が次から次へと装備され、デジタルタコメーターによる運行管理システムとドライブレコーダーの普及が後押ししました。加えて行政のコンプライアンス強化も影響しました。
環境面ではCO2削減や地球温暖化に寄与したと思います。経済面では速度を控えることによる省エネ(エコドライブ)運転で燃料費の削減に繋がりました。トラックは「走る凶器」だと揶揄されることもありました。トラック業界の地位向上やイメージ向上にスピードリミッターは十分過ぎる役割を担って参りました。今後80km/hから緩和された場合スピードリミッターの解除の問題や費用についても議論が必要です。
一般車の高速道路における最高速度が安全が確認された区間では120km/hに緩和されましたが、まだ数える程度の短い区間のみです。大型トラックと一般車の最高速度が縮まれば追突事故などの交通事故は増加傾向になると思うのです。
私の主観でありますが最高速度の引き上げは「反対」の意見であります。
記者よりドライバーさんの本音を聴きたいというのでベテランドライバーの木村君につなぎました。木村君のコメントを紹介します。「速度を出すほど事故率が高まるし、気持ち的にも安全でなくなる」速度制限の緩和により「もっと早く配送して欲しい」など荷主から無茶な注文を申し付けられる不安もある。「例え速度が上がっても、渋滞に合うなどすれば配達時間はさほど変わらない」とし、その効果にも疑問的な見方を示したとあります。
「物流2024年問題」におけるドライバーの労働時間短縮を目論んでのことだと思いますが、速度の引き上げで物流の効率化やドライバーの労働環境改善には効果が期待できません。